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【TGS 2010】アジア4カ国8社が一同に会しゲームビジネスの未来を議?
今回で20回目を迎えた東京ゲームショウ。その記念企画として「国際会議アジア?ゲーム?ビジネス?サミット」が開催されました。中国?台湾?韓国?日本の主要ゲーム会社の経営トップが一堂に介して、ゲームビジネスの課題や展望などがパネルディスカッション形式で議論されました。
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4カ国8社のトップが一堂に介した。
パネリストは▽シャンダ?ゲームズの銭東海氏、テンセントの王波氏(以上中国)▽ガマニアデジタルエンターテインメントの劉柏園氏、エクスペックエンタテインメントの許金龍氏(以上台湾)、ネクソンコーポレーションのソ?ミン氏、ハンゲームのジョン?ウク氏(以上韓国)▽カプコンの辻本春弘氏、スクウェア?エニックス?ホールディングスの和田洋一氏(以上日本)の4カ国8名。モデレータは日経BP社の浅見直樹氏です。
初めに浅見氏から各社の紹介がありました。シャンダ?ゲームズは中国オンラインゲーム業界の最大手パブリッシャーで、『DOA ONLINE』をはじめ日本企業との共同開発も手がけています。テンセントはインスタントメッセンジャーの『テンセントQQ』などを手がける中国最大手ポータルサイトの一つで、韓国産MOアクション『アラド戦記』の中国向け運営で大躍進を果たしました。
エクスペックはPS3やXbox360などコンソールゲームの受注開発を行う一方で、オンラインゲームの自社パブリッシングやブラウザゲームにも進出。ネクソン、ハンゲーム、ガマニアは日本でもオンラインゲームのパブリッシャーとして高い人気を集めています。カプコン、スクウェア?エニックスについては、あらためて紹介するまでもないでしょう。
シャンダ?ゲームズ、銭東海氏。テンセント、王波氏。ガマニアデジタルエンターテインメント、劉柏園氏。エクスペックエンタテインメント、許金龍氏。ネクソンコーポレーション、ソ?ミン氏。ハンゲームのジョン?ウク氏。カプコン、辻本春弘氏。スクウェア?エニックス?ホールディングス、和田洋一氏。モデレータの日経BP社、浅見直樹氏。
パネルディスカッションの主要テーマは「アジア圏におけるゲーム?ビジネスをどのように発展させていくか」。各社共に限られたパイを奪い合うライバルではなく、競争を行いつつも、共に協力してパイを広げていきましょう、というわけです。この前提認識のもとに、浅見氏は各国市場のトレンドに関する所感から議論を切り出しました。
■各社は他国の市場をどう見ているか?
まず中国市場については、各社ともに急速に成長しており、今後数年で世界最大のゲーム市場になる可能性を秘めているという認識で一致。一方で中国市場にどのように係わるかで、それぞれ認識の違いが見られました。ネクソンではシャンダ?ゲームズのパブリッシュで現在7本のオンラインゲームをサービス中。逆にハンゲームでは2004年から自社パブリッシングを行おうとしたものの、さまざまな壁にぶつかり、現在では撤退したとのこと。戦略を練り直している最中とのことです。
これに対して『モンスターハンターフロンティアオンライン』を台湾?韓国でサービス中のカプコンでは、両国での運営を通してノウハウを蓄積したいとコメント。エクスペックは6月に中国と台湾で締結された両岸経済協力枠組協議(ECFA)について触れ、中国市場も自由化に向けて進展しており、台湾企業にとってチャンスが拡大するという認識を示しました。
台湾市場については、カプコンから「他の国々に比べて日本と嗜好が似ている。海賊版の問題もあるが、かなり日本ゲームを理解してもらっている」と高く評価。これに対して台湾企業からも、文化の寛容性や開放性が高く、外国企業でも成功しやすい風土があると説明されました。「Facebookアプリやブラウザゲームなど、新タイプのゲームが大きくヒットしている」(エクスペック)、「台湾は小宇宙で、ここで成功すれば他の場所でも通用する」(ガマニア)。
韓国市場については、各社共にオンラインゲームの先進国として高く評価。中でもテンセントからは、韓国が「世界のオンラインゲーム産業の方向付けを行う国」で、グローバル戦略にあたって重要な戦略地域とみなしたとの発言がありました。一方ハンゲームは韓国市場が飽和状態にあり、海外進出をさらに進めることで成長力を維持したいとコメント。ネクソンは「競争が激しいことはマイナスだと思っていない。韓国で勝ち残れば世界で通用する。競争を通して新しいモノが生まれてくる」と分析しました。
最後に日本市場について。「日本の空は晴れていると思う」(ガマニマ)とのコメントにみられるように、アジア各国からは異口同音にポジティブな発言が続きました。シャンダ?ゲームズからは、「中国ではPCオンラインゲームが中心だが、日本ではコンソール、PC、モバイルとさまざまなプラットフォームがある。これらがネットワークで繋がるクロスプラットフォーム時代が到来すれば、大きな可能性がある」とコメント。「韓国のゲーム開発者は日本のゲームを遊んで成長した。日本はオンラインゲーム産業の育ての親」など、歴史の長さやコンテンツ力に対するリスペクトも見られました。
これに対してスクエニからは「日本のゲーム市場は大きく、今後も成長が続き、ユーザーも積極的だ」と前置きしつつ、歴史が長いぶんユーザーセグメントが細分化されていて、移り変わりも早く、非常に困難な市場だと分析されました。カプコンからは「ユーザーは携帯電話でオンラインゲームに慣れているが、我々はパッケージゲームの手法から抜け出せていない」と指摘。アジア各国から市場だけでなくビジネスも学び取る必要がある、さもなければ追い抜かされる、と警鐘を鳴らしました。
各社が考える「各地域の天気予報」。
■パートナーシップに必要な要素とは?
続いて議論は「パートナー論」に移行。海外進出を行う上で不可欠となるパートナー選びについて、各社の考え方が示されました。ハンゲームは「流通やマーケティング、コミュニティ管理を外国人がやるのは大変」と指摘。ネクソンでは「韓国で駄目だったタイトルでも海外でヒットした例があり、その逆もあった。今から考えれば、現地のパートナー企業がどれだけ親身になって運営してくれたかがポイントだった」と語りました。
スクエニからは「パートナーを選ぶ眼力も重要だ」という指摘がありました。アジア地域では各国で政府の動向や商習慣が違いすぎるため、買収ではなく事業提携が中心になるが、これでは強制力を持ち得ないと指摘。だからこそ相手を見定める能力が、より重要だとコメントしました。また同社では英国パブリッシャーのアイドスを傘下に収めましたが、今後は事業提携も広げていくという認識を示しました。
一方、中国企業からは「パートナーというより夫婦関係」という指摘も飛び出しました。パッケージゲームと異なり、オンラインゲームでは運営が数年にわたって続くのが理由です。「初めは目を大きくして相手を選び、協業後は目を細めて欠点はできるだけ見ないようにする」(テンセント)。「製品や会社だけでなく、その国の市場特性についても理解すること。コミュニケーションを広げる努力をすること。企業の大小にとらわれず、同じ目線で判断すること。この3点が重要だ」(シャンダ?ゲームズ)。
最後にイノベーションのトレンドについて議論がなされました。アジア勢はスマートフォンやソーシャルゲーム対応について異口同音にコメント。ケータイ向けソーシャルゲームで先行する日本の動向に注目が集まっている様が感じられました。「スマートフォンの普及でPCを使う時間が減っている。そこには大きな可能性がある」(デンセント)。「世界最大のモバイルゲーム市場があり、高い競争力がある日本で成功してこそ、グローバルでも成功できる」(ハンゲーム)などです。
これに対して日本側では、売り切りスタイルからサービススタイルに、ビジネスモデルをどう適合させていくか、という課題点が示されました。「いつでもどこでもゲームが出来る環境をユーザーが支持している。このライフスタイルに適合しないといけない」(カプコン)。「歴史を振り返っても、玩具業界、家電業界、IT業界と新規プレイヤーが参入し、そのたびに市場が拡大してきた。モバイルやSNSもその一環だ。その中で最近では『勝ち』のポイントが変わってきた。品質管理=バグを減らすこと、こうした認識から早く脱却する必要がある」(スクエニ)。
中国国家動漫遊技産業振興基地の朱建民氏からも挨拶があった。会場はほぼ満席で関心の高さが感じられた。東京ゲームショウでも過去にない豪華なイベント。
最後に実行委員長でもあるカプコン辻本氏より、東京ゲームショウは今年からアジア展開を理念に掲げていること。今後もアジア地域を一つの市場と見なして、市場拡大を考慮した運営開催を行っていくとの紹介がありました。その上で今回は各社のトップから様々な議論が飛び出し、非常に有意義だったと総括。スクエニ和田氏も「各社がゲームに対して愛情?誇り?経験をたくさん持っていることがわかった」とコメントし、今回の議論を生かして、さまざまな案件が生まれてくればいいと整理しました。
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日付:2010/11/12 転載:http://www.info-rmt.jp アクセス回数:1575