5月27日からオープンβテストが始まったハンゲームの「
ドラゴンネスト」が,素晴らしい好調ぶりを見せている。27日の13時にOBTが始まるやいなや,あっという間に同時接続者数1万人超えを記録。翌28日の夜には2万1000人に到達した。この数字は,MOタイトルかつ現在2サーバーで運用している本作における事実上の限界値であり,2010年最大級の注目作であることを,早くも裏付ける結果となった。
「ドラゴンネスト」運営チームの山縣周一氏(左)とプロデューサーの杉浦俊輔氏(右) |
そんなドラゴンネストが,
6月9日より
正式サービスへと移行する。今回は日本運営チームのキーマン2人に話を聞く機会を得たので,これまでの2年間にわたるローカライズ作業を振り返ってもらいながら,現状で明らかになっている問題点や,正式サービス後の展開などについてお伝えしていこう。
「ドラゴンネスト」を日本人好みに持っていく戦いは
2年も前から始まっていたのだ
4Gamer: 本日はよろしくお願いします。
まずは,お二方がドラゴンネストでどういった業務を行っているのか,お聞かせください。
杉浦氏: 運営チームを統括している杉浦です。国内サービスに関するあらゆる面を管理していますが,現在は主に,CBTでのフィードバックを集約して今後のアップデートにおける優先順位を決め,開発側に届ける作業を行っています。
山縣氏: ゲームコンテンツ全般を統括している山縣です。システムの問題/改善点を踏まえたアップデートの計画,日本独自仕様の立案などといった,コンテンツに関わる部分を一通り管理しています。QA(品質管理)やローカライズの管理全般も行っています。
4Gamer: 27日のオープンβテスト開始を控え,現在の率直な心境はいかがですか(※インタビューは5月24日に実施)。
杉浦氏: 先日行ったクローズドβテストでは,ログインやサーバー周りなど,ゲームとしての土台がしっかり動いていたのが確認できたので,今のところ大きな不安はないですね。ただ,ローカライズなど一部で不具合が残っており,お客様にご迷惑をお掛けしております。今後も気を引き締めていきたいです。
山縣氏: CBTではお客様からの評価が高く,ゲームとしての方向性は期待通りの手応えが得られました。今まで約2年,このドラゴンネストに専念してきたので,スタッフ一同本当に嬉しく思っています。これからも,お客様がもっともっと楽しめるように,ドラゴンネストをパワーアップしていきたいです。
4Gamer: ドラゴンネストというと,韓国版の開発初期から,日本向けにゲームシステムを調整してきたのが大きな特徴の一つですね。そのあたりの仕様を,あらためて確認させてください。
山縣氏: 弊社からの要望をもとに取り入れた要素としては,大きなところでは「ゲームパッド用の環境調整」「ストーリーの強化」「ミッションの導入」の三つがあります。
一番力を入れたのは「エイムアシスト」(※“エアアシスト”から呼称の変更があった)です。韓国では最初“マウス+キーボード”だけの操作方法を想定していたのですが,日本でのサービスが決まった際,ゲームパッドへの対応はマストだと伝えました。また,単に操作ボタンをゲームパッドで再現するだけでなく,実際に操作した際にしっくり来るように,チャットを除いたあらゆる操作が瞬時に行えるよう苦心しました。
遠距離攻撃をサポートするエイムアシストの導入には,かなりの試行錯誤がありました。ですがここを頑張ったおかげで,ドラゴンネストがコンシューマ系のプレイヤーにもアプローチできたと思います。
4Gamer: ストーリーとミッションについてはいかがでしょうか。
山縣氏: これもコンシューマ系RPGでは定番ですが,プレイヤーがより感情移入しやすいように,流れるようなストーリー展開や,メリハリの利いた演出が必要だと考えました。登場キャラクターの個性付けも積極的に行っています。
ミッションに関しては,日本で人気のある"やりこみ系"の要素の一環として,一から企画を提案しました。メインストーリーを進めるだけでなく,横道に逸れるような遊び方を,選択肢として用意したかったというのが発端です。
ゲーム内で目標を提示するだけでなく,達成状況をもとにほかのプレイヤーとやりとりが出来る仕組みがあるといいな,と思いました。このシステムは韓国側でも評判が良く,向こうのバージョンでも導入されています。
いま申し上げた三つに関してはほんの一例で,ほかにもモンスターの挙動やダンジョンの仕掛けなど,細かい要素を含めると色々とあります。これまで2年間の作業で,300前後の提案を行ってきました。
4Gamer: 今から2年前というと,韓国版で最初のCBTが始まるよりも前ですよね。それだけ早い段階から企画や開発に踏み込んだ理由はなんだったのでしょうか?
杉浦氏: 開発がある程度進んでしまうと,こちらから要望を伝えたとしても,システムの基盤に関する調整がらみで実際には難しいことが多いからです。韓国と日本のニーズは大分違いますので,できるだけ早い段階から,こちら側から要望を伝える必要がありました。
今,実際に日本のプレイヤーからフィードバックを受けるようになって,当時の選択が間違っていなかったことを実感しています。仮に従来のタイトルのように,韓国での正式サービス後にローカライズを開始していたら,ここまでの反響は得られなかったでしょうね。
4Gamer: それともう一つ,韓国版の正式サービス開始から,日本版が始まるまでの期間が短かったのも印象的でした。
山縣氏: 韓国では(事実上の)CBTが3月6日に始まっていますね。そこから日本へのローカライズは,ほとんどテキストの翻訳のみだったので,短縮することができました。逆に言うと,ゲームシステムに関する調整は,そのときにはすでに大半の作業を終えていたわけです。
4Gamer: ゲームバランスは韓国版に準じる形なのでしょうか?
山縣氏: まったくそのままではなくて,一部調整を加えています。分かりやすい例だとOBTに登場するイベントモンスターの出現率が,日本版では高くなっていますね。そのあたりは弊社のQAチームが積極的に動いていて,常に韓国の開発側とのやりとりを交わしています。
CBTで賛否両論あった「エイムアシスト」は
今後どうなっていくのか
4Gamer: クローズドβテストでの反響は,全体的に見ていかがでしたか。
杉浦氏: ゲーム全般を通して我々が期待していた以上に好評で,少々戸惑ってしまうくらいでしたね。
ただし万全というわけではなく,レベル帯によってプレイを止めてしまいがちな"離脱ポイント"がいくつか確認できました。レベルが「3」「5」「8」「10」のタイミングで,プレイを中断する人が多かったのです。
4Gamer: それはどういった理由だったのでしょうか?
杉浦氏:<