2010年8月31日,「
CEDEC 2010」で“
「Final Fantasy XIV」におけるキャラクター制作 ?品質を支えるワークフローと制作手法?”と題された講演が行われた。講演を行ったのは,スクウェア?エニックス開発部で,FFXIVのキャラクター班モデル制作チーフを担当した
馬場敬一氏と,同班のテクスチャ制作チーフ
石井晴也氏の2名。
写真左:石井晴也氏 写真右:馬場敬一氏 |
講演のメインテーマは,PCとPlayStation 3で発売される予定の
「FINAL FANTASY XIV」(
PC /
PS3)(以下,FFXIV)におけるアバター(プレイアブルキャラクター)と,それらが身につける装備品の制作手法についてだ。装備品のクオリティにこだわりつつ,バリエーションを多くするという目標をかかげ,実際にどのように制作していったのか,またどういった工夫をしたのかなどが具体例と共に紹介された。
4Gamer読者ならご存じのとおり,FFXIVは現世代のオンラインゲームとしては最高級といえるグラフィックスのクオリティを誇っている。CEDEC会場内で最も大きいメインホールには,FFXIVのノウハウを知るために,大勢の人達が集まっていた。
FFXIのアバターをいかにしてFFXIVへ引き継ぐのか
FFXIVの開発にあたり,キャラクター班は大きく三つの目標を掲げた。「
ファイナルファンタジーXIのアバターを引き継げるビジュアルの実現」「
長期運営に耐えうる高品質グラフィックス」,そして「
限られた容量の中で数多くのバリエーションを実現する」ことだ。これらは口でいうほど簡単なことではなく,開発当時は困難の連続だったと馬場氏は語る。
馬場氏達が最初に行ったのは,FFXIのキャラクターを現在の技術で再構成すること。その結果,どことなくFFXIをイメージさせるキャラクターデザインになった。FFXIのプレイ経験があるFFXIVのテスター参加者であれば,多かれ少なかれ,両者を近いイメージとして見ていることだろう。
もちろん,現在の技術で再構成するといっても,ポリゴンを増やしたり,テクスチャを綺麗にしたりしただけではない。髪や目鼻など,各パーツを個別にカスタマイズできるようにもなった。
また,感情を豊かに表現するために,目や口の周りには多くのポリゴンを用いたり,ヘルメット類を装備した際に,髪型によって境界線を滑らかにしたりといった工夫が凝らされている。単純にFFXIをベースに作り上げていくだけでなく,より魅力的なキャラクターの実現を目指したとのことだ。
FFXIVはFFXIと異なり,プラットフォームがPCとPlayStation 3で,しかもワールドワイド展開を行う。この違いがアバターデザインにも影響を及ぼしているという。最初にPlayStation 2版が発売されたFFXIでは,全体的にデフォルメされていたが,FFXIVでは若干リアル寄りにしたという。
開発スタッフがとくにこだわった例として,同じ種族の中に2種類の“民族”を導入したことが挙げられた。ヒューランの場合は標準体型の“ミッドランダー”だけでなく,海外ユーザーのニーズに応えるべく,筋肉質の“ハイランダー”を用意したそうだ。